【二十四節気】啓蟄 けいちつ

冬眠していた虫が土から這い出してくる頃。

緑が次第に広がり始め、鳥がさえずり、虫が動き出す。

少しずつの変化を昔の人々は楽しんでいたのです。

旬の野菜:いちご

春のフルーツの代表的ないちご。ケーキに乗っていることで冬のフルーツのイメージがありますが、本当の旬は春です。

ビタミンCをとても多く含んでおり、風邪の予防や疲労回復、肌の状態を整えるのに効果があります。

いちごの赤色はアントシアニンで眼精疲労の回復や視力改善作用があります。
いちご以外ではブルベリーに多く含まれていることでも有名です。

旬の魚:はまぐり

とても強いうまみ成分を含み、お吸い物でいただくことが多いハマグリ。

鉄分、亜鉛、タウリンなどのミネラルも多いので、特に貧血の方にお勧めです。

野菜などからは取れないビタミンB12も含んでおり、正常な細胞の増殖を助けるほか、神経を正常化させる働きなどもあります。

ハマグリのうまみ成分はグルタミン酸やアミノ酸などでアサリなどよりも多く含まれているので、とても強いうまみを感じることができます。

初候:蟄虫啓戸 ちっちゅうこをひらく

冬眠していた虫や動物が出てくる頃。

「蟄」自体は”穴にこもる”という意味を持っていて、「蟄虫」となって”穴にこもった虫”となります。

正確には穴というよりも土の中や枯葉などの下で冬ごもりしていた昆虫や動物たちが、暖かくなって出てくるころを指す言葉とされています。

また、立春が終わって初めて鳴る雷は「虫出しの雷」とも呼ばれ、この言葉も啓蟄の時期に合わせた言葉といえましょう。

次候:桃始笑 ももはじめてわらう

桃の花が咲き始める頃。

花が咲くことを「笑」と書くのはなかなか面白いと思うかもしれませんが、実はこの二つの漢字には関係性があります。

実は咲は笑うの古字で、もともとは「咲」と書いて”わらう”と呼んでいたのです。

笑うこと=花が咲いたように明るくなることの意味合いで使われることが多く、二つの言葉を重ねて表現することが多くなったため、「笑う」と「咲く」を別の漢字にすることで使いやすくしたのではといわれています。

末候:菜虫化蝶 なむしちょうとなる

青虫が蝶に変わる頃。

害虫と考えられている「菜虫」は主にアブラナ科の植物を食べる青虫のことを指します。

厄介者として扱われた青虫も、サナギになり厳しい冬を超えた後は蝶となって花の間を飛び回り、花粉を運び、次の花の種子を作ります。

幼虫から成虫までの容姿や役割の変化の魅力を感じた昔の人々は、様々な象徴として蝶を描いたのかもしれません。